自治体の家事支援サービスと家事代行の違い|使える制度の探し方
「家事を外注したいけれど、自治体にも似たようなサービスがあると聞いた」——調べ始めると、介護保険の訪問介護、産前産後ヘルパー、シルバー人材センター、民間の家事代行……と名前が並び、どれが自分向けなのか分からなくなります。
実はこの2つは、同じ「家事を手伝ってもらう」でも成り立ちがまったく違います。公的な支援は「条件を満たした人が、本人に必要な家事を」頼む仕組みで、民間の家事代行は「誰でも、家庭内の家事を幅広く」頼めるサービスです。
ここでは代表的な5つの選択肢を、特徴・向いている人・注意点の3点セットで並べます。制度の名称や対象は自治体によって大きく異なるため、最終的にはお住まいの市区町村の情報で確認してください。
先に結論だけ言えば、「誰のための家事か」と「対象条件に当てはまるか」で行き先はほぼ決まります。本人のための家事で条件に該当するなら公的制度、家族全員分や範囲外の家事なら民間の家事代行、という分かれ方です。
選択肢1:介護保険の訪問介護(生活援助)
特徴:要介護・要支援の認定を受けた人が、ケアプランに基づいて訪問介護(ホームヘルプ)を利用する仕組みです。掃除・洗濯・調理・買い物などの「生活援助」が含まれます。自己負担は原則1〜3割とされており、費用面の負担は軽くなります。
向いている人:本人が高齢で、日常の家事に支障が出ている場合。
注意点:ここが最も誤解されやすい点ですが、生活援助は利用者本人のために必要な日常生活の援助が対象です。厚生労働省が示す訪問介護の取扱いでは、同居家族のための家事や、日常生活の援助の範囲を超える作業(大掃除、庭の手入れ、来客対応など)は原則として対象外とされています。「親の家に行ったついでに家族の分も」とはいかない、という点は押さえておきましょう。
まずは地域包括支援センターや担当のケアマネジャーへの相談が入口になります。
選択肢2:障害福祉サービスの居宅介護(家事援助)
特徴:障害者総合支援法に基づく居宅介護のうち、調理・洗濯・掃除などを支援する区分です。対象となるのは、必要な支給決定を受けた人です。
向いている人:障害により日常の家事に支援が必要な場合。
注意点:利用には市区町村への申請と支給決定の手続きが必要で、すぐに使えるわけではありません。支援の内容や時間数も決定された範囲内になります。介護保険と同様、支援を受ける本人のための家事が対象という考え方が基本です。
選択肢3:産前産後のヘルパー派遣(自治体の子育て支援)
特徴:妊娠中や出産後の一定期間、家事や育児をサポートするヘルパーを派遣する事業です。「産前産後ヘルパー派遣事業」「産後家事・育児支援」など、名称は自治体ごとに異なります。1時間あたり数百円程度の自己負担で利用できる自治体もあります。
向いている人:里帰りできない、周囲に頼れる人がいない、といった産前産後の家庭。
注意点:利用できる期間・回数・上限時間が決まっているのが一般的で、申請が必要な場合や、出産前の事前登録が必要な場合もあります。制度がない自治体もあります。妊娠中に一度、住んでいる市区町村の子育て支援窓口で確認しておくと安心です。
民間サービスを含めた産後の頼み方は産後に家事代行を使う|頼める範囲と気をつけたいことにまとめています。
選択肢4:シルバー人材センター
特徴:地域の高齢者が、掃除・洗濯・調理の補助・草取りなどの軽易な家事援助を有償で引き受ける仕組みです。市区町村ごとにセンターがあり、料金は比較的抑えめな傾向があります。
向いている人:定期的に、そこまで難度の高くない家事を、費用を抑えて頼みたい場合。
注意点:会員として登録している方が担当するため、対応できる作業内容や受け付けている時間帯はセンターごとに差があります。専門的な清掃や、細かい仕上がりの要望に応える形とは限りません。まずは地元のセンターに、対応可能な作業と料金を問い合わせるところからです。
選択肢5:民間の家事代行サービス
特徴:条件を問わず誰でも申し込めて、掃除・洗濯・料理・買い物などを幅広く依頼できます。時間制やパック制が中心で、単発から定期まで選べます。
向いている人:公的制度の対象に当てはまらない人、家族全員分の家事を頼みたい人、時間帯や頻度を自由に決めたい人。
注意点:費用は全額自己負担です。料金の目安や会社ごとの違いは家事代行の料金相場|時間制と回数パックの違いと選び方の目安を参考にしてください。料金体系・対応範囲は各社で異なり、変更されることもあるため、金額は目安として読み、最終的には各社の見積もりで確認してください。
選ぶときの3つの軸
軸1:誰のための家事か
公的制度は「支援を受ける本人のための家事」が基本です。家族全員分の食事づくりや、家全体の掃除を頼みたいなら、民間の家事代行が現実的な選択肢になります。
軸2:対象条件に当てはまるか
要介護認定、支給決定、産前産後の期間——公的制度には必ず入口の条件があります。条件を満たさなければ、そもそも申し込めません。
軸3:いつから必要か
公的制度は申請から利用開始まで時間がかかることがあります。「来週どうにかしたい」という場面では、民間の家事代行のほうが早く動けることが多いです。
自分が使える制度の探し方
- 市区町村の公式サイトで検索する……「(市区町村名) 家事支援」「(市区町村名) ヘルパー 派遣」で調べると、該当する事業のページが見つかりやすいです。
- 窓口に電話で聞く……高齢者なら地域包括支援センター、子育て世帯なら子育て支援課、障害福祉なら障害福祉課が入口です。「こういう状況なのですが、使える制度はありますか」と伝えるだけで十分です。
- ケアマネジャーに相談する(介護保険を利用中の場合)……ケアプランの範囲で何ができるか、何が対象外かを整理してもらえます。
- 対象外だった部分を民間で埋める……制度で頼めない部分だけを家事代行に切り出す、という使い方もできます。
離れて暮らす親のサポートを考えている場合は、高齢の親に家事代行をプレゼント|離れて暮らす親へのサポートもあわせてどうぞ。
まとめ
- 自治体の家事支援は条件つき・本人のための家事が基本。自己負担は軽いが、対象と範囲に制約がある。
- 民間の家事代行は誰でも・幅広く・早く頼めるが、費用は全額自己負担。
- 制度の名称・対象・自己負担額は自治体ごとに大きく異なるため、必ずお住まいの市区町村で確認する。
- 制度で頼めない部分だけを民間で埋める、という併用の考え方もある。
どちらが優れているという話ではなく、入口の条件と、頼みたい家事の範囲で決まるというのが実際のところです。まずは自分が制度の対象になるかを確認し、対象外の部分をどうするかを考える順番で進めると迷いません。
民間の家事代行を検討する段階に来た方は、比較ページで対応範囲と料金を見比べるところから始めてみてください。
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(制度の対象・自己負担・運用は自治体やケースによって異なります。本記事は一般的な整理であり、個別の可否は各自治体の窓口・ケアマネジャー・各サービスの公式情報でご確認ください。)
よくある質問
自治体の家事支援は誰でも使えますか?
多くの場合、対象となる条件が決まっています。介護保険の訪問介護なら要介護(要支援)認定を受けていること、産前産後のヘルパー派遣なら出産前後の一定期間であること、といった具合です。条件・名称・自己負担額は自治体ごとに異なるため、お住まいの市区町村の窓口で確認してください。条件に当てはまらない場合は、民間の家事代行を検討することになります。
介護保険の訪問介護で、同居家族の分の料理も頼めますか?
厚生労働省が示す訪問介護の取扱いでは、生活援助は利用者本人のために必要な日常生活の援助が対象とされており、同居家族のための家事や、日常の家事の範囲を超える作業(大掃除や庭の手入れなど)は原則として対象外とされています。家族の分もまとめて頼みたい場合は、民間の家事代行を併用するという考え方があります。実際の運用はケアマネジャーや事業者に確認してください。
自治体の制度と民間の家事代行は併用できますか?
制度の対象となる部分は公的サービスで、対象外の家事は民間の家事代行で、という形で使い分けている家庭もあります。ただし併用の可否や調整の仕方はケースによって異なるため、介護保険を利用中の場合はまずケアマネジャーに相談するのが確実です。民間側の対応範囲も会社ごとに異なるので、依頼前に確認しておきましょう。

